デルタ・ブルース(The Delta blues) はアメリカ合衆国南部のミシシッピ川流域(デルタ)やテネシー州メンフィスなどの地域で発生した、初期ブルースミュージックのひとつである。演奏楽器として、特にギターとハーモニカが一番多く使われた。またソウルフルで、激しく、そして自己の内面を歌い上げるようなボーカルスタイルもデルタ・ブルースの特徴である。
初のレコーディングは1920年代から行われた。この時代ライブではバンド形態でプレイすることもあったものの、レコーディングの場合は一人のミュージシャンが自分でギターなどを演奏しながら歌うことが多かった。
(一応、形の上では)奴隷から解放されたアフリカ系アメリカ人たちが季節労働者としてミシシッピ河口からアーカンソー、ルイジアナ、テキサス、テネシーにかけて恒常的に移動する慣習があったが、デルタ・ブルースのミュージシャン達もその例に漏れず、南部地域を旅して周った。その結果この音楽はあちこちに広まり、スキップ・ジェームス、エルモア・ジェームスなど(厳密には)デルタ地域出身でないデルタ・ブルースミュージシャンも生まれるようになる。後期になるとアメリカ中にデルタ・ブルースは広がり、特に多くのアフリカ系アメリカ人が移住していったシカゴ、デトロイトなどの北部都市に根付き独自のブルース(シカゴ・ブルース)へと進化してゆく
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